防衛機制②

               

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防衛機制②

2020年04月06日
「職場のメンタルヘルス」P91

A.昇華
性欲や攻撃などの本格的衝動をそのまま行動に移すことは社会的に身を滅ぼすが、
社会的に認知された生産的な方向に向け直すことは有益な成果を生む。
この方向転換を“昇華”という。
美しい芸術作品を生み出したきっかけが性欲だったり、
素晴らしい製品をつくる企業の創業動因が自分を虐げ続けた社会への攻撃だったりすることは多い。

B.知性化
人間性についての知識や論理的な考え方を身に付けることで、
性欲や攻撃本能を自分の意識のコントロール下に置こうとすることをいう。
“知性化”によって自分を脅かす生々しい情動から自我を守る姿勢は、社会生活のいろいろな場面で役立つ。
しかし、度が過ぎるとあるがままで素直な生の姿を受け入れられなくなり、
家庭でも職場でもいきいきとしたダイナミックな対応ができなくなってしまう。

C.隔離(アイソレーション、分離、切り離し)
これはこれ、それはそれ、として
自分のいろいろな行動や周囲の状況などを別々に切り離して、
意味付け・位置づけをすることをいう。
“隔離”によって、職場のストレスは現場へ置いて帰ることができる。
しかし、「隔離」を恒常的行動パターンにしてしまうと、
人間性や社会的行動の一貫性を欠く反社会性行動障害も呈しやすい。
たとえば、アウシュビッツで苦しみ抜いて死ぬユダヤ人の子供を平気で見ていたゲシュタポが、
自分の家庭では良きパパでおれたのは無意識の“隔離”のせいである。

(出典) AMERICAN PSYCHIATRIC ASSOCIATION : Quick Reference to the DIAGNOSTIC CRITERIA from DSM-Ⅳ,1994 : 高橋三郎・大野裕・柴矢俊幸・共訳: DSM-Ⅲ 職場のメンタルヘルス, 89~190頁, 医学書院, 1995より, 著者一部改変.
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