あわの診療所
世界保健機構(WHO)が公表しているICD(アイシーディー)という国際疾病分類があります。これの最新バージョンであるICD-11では、「睡眠・覚醒障害」はなんと52個ものバリエーションに細分化されています。病気の結果としての睡眠、覚醒障害を生じていることもありますし、原因がなくて対症療法的に睡眠薬で様子を見てオッケーな事も多いです。睡眠障害をおこす有名(?)な病気としてはナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群などがありますが、当院でもご自宅での睡眠時の呼吸状態を観察するための機材をお貸ししてデータ観察をすることもあります(台数は少ないですが・・・)。
地球の1日は24時間ですが、人類にそなわる生体リズムは、実は25時間周期というのが通説です。油断すると夜更かしになってしまう由縁ともいわれています。季節や地域(緯度)に応じて日照時間は変動します。それに応じた睡眠・覚醒リズムにするには、朝日を浴びる(光刺激)ことで調整されます。すっきりとした寝覚めには、朝日が入る部屋で寝るのも良いですね。できれば遮光カーテンをやめるなどいかがでしょう。不規則勤務や睡眠不足が避けられない生活の方は、他の部分でいっそう慎重に体を労わってあげてください。夜勤であったり、『寝てなくても大丈夫』と慣れる事はありますが、寝ない事で益々健康になるということはありません。夜は寝て、朝おきて、お日さまとともに活動するのが人間の基本設計です。。
スマホにあふれる感情をゆさぶるニュースや連絡、頭が覚醒するゲーム、光と音の刺激は寝るには不向きです。睡眠剤は、眠りをもよおすだけで何か根本的に治す力はないのです。しかし原因はどうであれ「眠れていなくてもピンピン元気」という人は少ないので、「とりあえず寝て体力回復してどうにか良い方向に行かないかな」という位置づけと思います。かりに睡眠薬を使うとして、入眠に効く短時間のもの、途中覚醒に効きやすいもの、依存性が弱いもの(身体依存を形成しない)など、沢山の種類があります。年齢含めた体質や、生活スタイル、効果実感などを診察でお伺いしながら調整していきます。
目を覚ますカフェインは、コーヒー、緑茶、紅茶、コーラ、栄養ドリンク、ウーロン茶にもジャスミン茶にも入っています。自販機やコンビニでカフェインの入っていない飲料を探すのは難しいくらいです。全く摂取しないのも難しいので、寝る数時間前はひかえる、薄いものにする、といった工夫を心がけましょう。アルコールそのものには眠くなる作用があります。しかし、アルコールは数時間で代謝されてアセトアルデヒドという物質にかわります。このアセトアルデヒドには覚醒作用があり睡眠の質を下げます。アルコールは利尿作用で夜トイレに起きやすくなるのも睡眠の妨げですね。アレルギー薬や風邪薬が眠気をもよおすのを体感された方もあると思います。アルコール、カフェイン、市販薬は入手が容易なこともあり、診察で尋ねる姿勢は持ち続けるよう意識しています。
心身にお悩みをお持ちの方、どうぞお気軽にご相談下さい。
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